第一話「ルソンの壺」
1614年冬の夜。フィリピン、ルソン島はマニラの城郭都市。その城壁に面した中庭。
徳川家康の禁教令により、キリシタンである播磨明石城城主・高山右近は
妻・ジュスタ妙、娘・ルチアお初と共にこの地へと流されていた。
ルチアは病の床に伏す父に対し、言い出せぬ「秘密」がある様子。
そこへ亡き小西行長の養女で、同じく流刑の身であるジュリアおたあが訪ねて来る。
ジュリアが語り出したある「計画」は、母娘の信仰だけでなく
人生をも見つめ直させて……。

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第二話「広東の林檎」
2011年、中国広東省深圳にあるiPhone工場の休憩所。
同じ工場で半年前、ラインの監督係だった男が自殺した。
男と婚約していた招娣（チャオディ）は、死の真相を探るべく
同僚に聞き込みを始める。
急に金回りの良くなった佳芝（チアチー）。
工場長の愛人と噂されている穎（イン）。
二人の証言が招娣に突きつけた現実とは……。

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第三話「炎のスワン・シスターズ」
1956年11月の深夜。赤坂にあるキャバレー・ラテンクォーター。
この店で働くホステス・直美と知恵子が、
泥酔した常連を介抱する美津子を待ち構えていた。
酔客の相手に明け暮れる生活に嫌気が差した二人は、
新宿のレビュー劇場・ムーラン・ルージュで歌っていた美津子に
今、アメリカで流行している女性コーラス・トリオを組まないか、と持ちかける。
日の当たらぬ生活に差し込んだ一筋の光明。
走り出す女たちの前に、大きな「障害」が立ちはだかるが……。